2013年1月17日木曜日

煙のない街 ロンドン

年が明けてしまいました…いまさらですが、寒中お見舞い申し上げます。
今年もよろしくお願いいたします。

早いもので、研究期間も残すところ2ヶ月となりました。そろそろ結果をまとめ、発表するということを視野に入れなくてはいけないなと焦る日々です。このブログもそろそろ本気で好き勝手なこと書いて、大量の重い画像をアップして「埋め」にかかろうと思います。



さて。

先週、ロンドン地下鉄が150周年を迎えました。それを記念して、日曜日には当時の蒸気機関車が復活運転しました。まぁ、都会のど真ん中でよく許可したな、って感じです。いくらピーク時を避けたかったとはいえ、運転時間が19時から23時と、子どもに厳しいところがまた素敵です(ちなみに来週末も走ります。ほぼ同じ時間)。




とりあえずヴィクトリア時代の「絵」が欲しかったので、見るだけ見てきました。
でも、気を遣って駅構内は徐行したので、思ったほど煙を吹かず…




ってちょっと油断して再加速したら、このありさま。


ちなみにここはベーカー街駅。ロンドン市長のボリス・ジョンソンは"It was pure Conan Doyle!"って言ってたらしいですが、クライアントはさておき、ホームズは乗らなかっただろうと思います…なんだかんだ言って富裕層ですからね、馬車でしょう( 現代版の『シャーロック』でもタクシーばっか使ってたし)。


とにかく、当時はこんなものが結構な頻度で走っていたのだから、たまったものじゃなかったと思います。丸ノ内線がこれでバンバン走ってたら、私だって医科歯科の附属病院に来る前に倒れると思う…


ということで、今日は大気汚染の話(強引に)。

このとき、駅に「来週は厳しい寒さによりダイヤの乱れが予想されます」ってあったので、てっきり濃霧でも出るのかと思ったのですが、結局そんなことはありませんでした。で、そういえば「霧の街」と呼ばれて久しいロンドンですが、そんなに濃い霧を見た記憶がないなぁ、と(「…起きんのが遅いんじゃない?」って言われると苦しいところですが)


やはりこの「霧」というのはスモッグで、石炭の燃焼による大気汚染が大きな原因だったのだろうなと、改めて考えさせられます(もちろん、純粋に霧が出やすい地形だった、っていう部分もあるとは思いますが)。コナン・ドイルも霧のことを書いていますが、「濃い茶色の渦が窓にたなびき」まではまだいいとして、「窓枠に油滴が集まっている」っていうのはどう考えても異常。

そしていまからおよそ60年前(1952年12月5日)、あの有名なロンドンスモッグ事件が起こりました。冬の高気圧に覆われて、寒波のなか暖房に使われた石炭の煙は、逆転層に遮られて滞留し、うんぬんかんぬん…というやつですね。ニュースで当時を憶えている人へのインタビューを放送していたのですが、「バスに乗ってたら、しばらくは徐行していたのだけれど、市内に入る手前で『黄色い壁』が現れて、それより先に進めなくなった」というほどだったそうです。


その後、Clean Air Actや条例の整備によって、徐々にロンドンの大気も綺麗になりました。同時に、自然史博物館(右)や国会議事堂の壁を洗ったところ…なんということでしょう!茶色だと思っていた壁には本来のカラフルな色が蘇ったのです…だそうです。ケル◯ャーすごい。


で、いまはどうかというと…どうなんでしょうか。オリンピック前には「北京より大気汚染が酷い!」とまで言われて、慌てて対策に乗り出して、遂には飛行機まで飛ばしてデータを集めていましたが。ロンドンスモッグ事件を振り返ったニュースを聞いてから、たまにMet Office環境食料地方省のデータを覗いたりしていますが、特にひどい値は見たことがありません。
(2013/02/03追記:ソースが間違っていたので訂正しました…あと、定量的なデータではないのですが、キングスカレッジの予測図は直感的に分かりやすくてよいと思いました。こっちだと、幹線道路付近は凄く汚いように表示されているけど…どうなんだろう)

個人的な体感としては、東京と変わらないのかなぁという感じがします。やっぱり、特に大通りの空気が悪い。右の写真はクロムウェル・ロードから撮ったのですが、ここを自転車で走っていると、時々「昭和か!!」って言いたくなるほどの、驚くような黒煙を吐くトラックやバンに出くわすことがあって、ちょっと息苦しくなることもしばしば。


そういえば一昨日、こちらも初雪が降りました。そして「あ、電車が遅れるって、雪でか」といまさら気づき。東京もなんだか10 cm以上も積もったそうで、大混乱だったって聞きました。足元も凍ってるでしょうから、どうぞ気をつけて。

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