そういえば!とか言いつつ、だいぶ前(12月なんだけどね…)の話になってしまうのですが…こちらでお世話になっている若林先生からお誘いいただき、学生のプレゼンテーションを見てきました。Surgery & Anaesthesia(外科・麻酔科分野)で学ぶ医学科4年生、彼らの冬学期を締めくくるプレゼンです。
こちらのYear 4 (BSc) はプロジェクトセメスター同様,研究に携わる学年になります。ただ、実際のBScプロジェクト(研究)は2月の終わりからの10週間ということで、まだ始まっていません。いまはその準備期間となるカリキュラムで、今回のプレゼンテーションはその中間発表というかたちになるようです(当然、成績に加味されます)。今年最後の正念場…みんなバシッとスーツを着て、本気で発表に挑みます(そしてそのど真ん中、空気を読めずにダサいトレーナーで来てしまった自分、ってまた素敵な…)
3〜5人ほどの班ごとに、与えられたテーマに関してプレゼン。学生に与えられるテーマは(後に書きますが)いずれも最先端のトピック…中には未だにcontroversialで、結論を出し難いものもあります。それでも、どの班もよく論文を探し、読み込んでいるなぁという印象です。スライドには載せていない細かいところは口頭で説明し、「それは動物実験、それとも臨床研究?」「どういう方法を使ったの?」という質問にも、きちんと細かく答えていました…凄い。
それぞれの発表後、2名の教官からフィードバックがその場で返されます。評価者のお一人は本学出身で、インペリアルで麻酔科のトップをされている高田教授です。どの班もきちんと準備しているので、基本的には「よくできている」と好評価でした("confident"で"engaging"だ、とおっしゃってました)。多くの班が分担してプレゼンしていたのですが、先生方は一人ひとりの発表を細かにチェックして、「君のあのスライドはよかった」「ここはこのように提示した方がいい」と、サイエンスとしての内容、プレゼンテーションとしての形式の両方について、丁寧にコメントを返していらっしゃいました。
…で、なんでいまさら書くかってことなんですが、そろそろ自分たちもポスター発表があるし、書くんだったら今だろうなーって思ったからです。先輩が過去に書いてらっしゃるし、長々と同じようなことを書いたものかどうか躊躇っていたのですが、まぁ参考になるかもしれないので、やっぱり詳しく書こうと思いました(別に、変な出し惜しみをしていたとか、そんなんじゃないです…)。あと、ほら、最近ずっとゴミみたいなことばっか書いている反省の意味で、私をポイしないでくださいということで(笑
特にコメンタリーがとても参考になると思ったので、自分のまとめたものをのせます(注:先生のコメントと、自分の思ったことがごっちゃになっているので、まーこんなもんかー程度に見てください):
[全体の構成について]
[各スライドについて]
コメンタリーを聞いていて(繰り返しになりますが)内容と形式の両面から、本当に細かくフィードバックをくれるのが印象的でした。もっと、なんかハウツー本的なもので叩き込んで、結果としてパターン化されたプレゼンが供されるものと思っていたのですが、全然違う、柔軟に考え抜かれたプレゼンで、見ていて非常に勉強になったと思います。
こちらのYear 4 (BSc) はプロジェクトセメスター同様,研究に携わる学年になります。ただ、実際のBScプロジェクト(研究)は2月の終わりからの10週間ということで、まだ始まっていません。いまはその準備期間となるカリキュラムで、今回のプレゼンテーションはその中間発表というかたちになるようです(当然、成績に加味されます)。今年最後の正念場…みんなバシッとスーツを着て、本気で発表に挑みます(そしてそのど真ん中、空気を読めずにダサいトレーナーで来てしまった自分、ってまた素敵な…)
3〜5人ほどの班ごとに、与えられたテーマに関してプレゼン。学生に与えられるテーマは(後に書きますが)いずれも最先端のトピック…中には未だにcontroversialで、結論を出し難いものもあります。それでも、どの班もよく論文を探し、読み込んでいるなぁという印象です。スライドには載せていない細かいところは口頭で説明し、「それは動物実験、それとも臨床研究?」「どういう方法を使ったの?」という質問にも、きちんと細かく答えていました…凄い。
それぞれの発表後、2名の教官からフィードバックがその場で返されます。評価者のお一人は本学出身で、インペリアルで麻酔科のトップをされている高田教授です。どの班もきちんと準備しているので、基本的には「よくできている」と好評価でした("confident"で"engaging"だ、とおっしゃってました)。多くの班が分担してプレゼンしていたのですが、先生方は一人ひとりの発表を細かにチェックして、「君のあのスライドはよかった」「ここはこのように提示した方がいい」と、サイエンスとしての内容、プレゼンテーションとしての形式の両方について、丁寧にコメントを返していらっしゃいました。
…で、なんでいまさら書くかってことなんですが、そろそろ自分たちもポスター発表があるし、書くんだったら今だろうなーって思ったからです。先輩が過去に書いてらっしゃるし、長々と同じようなことを書いたものかどうか躊躇っていたのですが、まぁ参考になるかもしれないので、やっぱり詳しく書こうと思いました(別に、変な出し惜しみをしていたとか、そんなんじゃないです…)。あと、ほら、最近ずっとゴミみたいなことばっか書いている反省の意味で、私をポイしないでくださいということで(笑
特にコメンタリーがとても参考になると思ったので、自分のまとめたものをのせます(注:先生のコメントと、自分の思ったことがごっちゃになっているので、まーこんなもんかー程度に見てください):
[全体の構成について]
- 最初に、プレゼンのアウトラインを提示すると分かりやすい。
- 分子機序,疫学,…などとセクションごとにテーマや視点を明確に分けるとよい。
- 最後に、結論を再掲してまとめると分かりやすい。
- あるいは、"Take Home Message"として、これだけは覚えてほしいっ!てことを簡単な一言・一文にするというのも、いいやり方だなと思いました。
[各スライドについて]
- スライドの密度は適切に
- あまりbusyにしない、でも空白が多いのも勿体ない…ということでした。個人的に、前者はよく言われていたのですが(以前に文字サイズ24 pt以上で!とか言われた)、後者はあまり気にしていなかったので参考になりました。これも、いかに限られた時間とスペースで、より多くの情報を分かりやすく伝えるか、という視点ですね(すげぇ難しく思えてきた…)
- 1スライド1トピック
- 例えば、1つの論文に特にフォーカスするというのは王道(その際は、例えばグラフなど、できれば定量的・具体的なデータを示す)。
- ただし、あるグループは未だに論争のあるトピックについて、「結論は出ていない」みたいなタイトルにして、肯定的な結果を出した論文と否定的論文を左右に対立するかたちで列挙したところが評価されていました。要するに、いかに効率的に分かりやすく伝えるか、という点に尽きるんだと思います…それが難しいわけですが。
- タイトルは分かりやすく
- セクションごとに通しのタイトルをつけている班がありましたが、例えば1スライド1論文の場合なら、論文の結果をタイトルに持ってきたほうが分かりやすいこともあります。
- スライドのどこについて話しているのか明確にする
- 例えば、箇条書きなら、話しているところを一箇条ずつ表示させると見ている方も焦点が定まりやすいと思いました。
- 参考文献を正しく適切に表示する
- こちらは盗用・剽窃(plagiarism)に関して本当に本当に厳しく、参考文献を適切に表示していることが重視されます。例えば、1スライド1論文だったら右下に参考文献を出せばいいのですが、箇条書きだったら参考文献は各箇条につけなくてはならない(右下にごちゃっとまとめて示すのはダメ。どの部分がどの文献の引用なのかが分からないから)。
- アニメーション・動画は無理をしない
- アイコンなどをうまく使って、オリジナルのアニメーションを作るのは面白いのですが、いかんせん大変。下手なアニメーションで余計に分かりづらくなることも少なくないので、どっかの論文から分かりやすいシェーマをもらってくるだけでもOK。
- 動画に関しては、本当に絶対にどうしても必要!!っていうのでなければ、基本的に避けた方がいいとのことでした(まぁ、往々にしてうまく再生されない ですよねー)
- 引用論文はきちんと読み込む
- 上にも書きましたが、スライドには概要だけ書いて、細部は口頭で喋っていました。これがカンペなしなんですよねぇ…当たり前のことだと思うのですが、凄いと思いました。自分、ポスター発表でも間違いなく途中で突っかかると思うもん。
コメンタリーを聞いていて(繰り返しになりますが)内容と形式の両面から、本当に細かくフィードバックをくれるのが印象的でした。もっと、なんかハウツー本的なもので叩き込んで、結果としてパターン化されたプレゼンが供されるものと思っていたのですが、全然違う、柔軟に考え抜かれたプレゼンで、見ていて非常に勉強になったと思います。
- Inhalation of Nitric Oxide
- NOの作用機序から始まり,肺高血圧治療以外に,気管支肺異形成(BPD)などなどへの適応の話…
- 最初の発表だったので、ちょっと混乱して焦点が定まっておらず、あまりメモとってません。申し訳ない。
- Influence of Gender on ICU Outcome
- ICUの予後に性差はあるか?高齢の女性患者さんに対して侵襲的な治療をためらいがちで、それでかえって助かる率が下がっている?それとも社会的要因ではなく、男女の生物学的な差に原因がある?みたいな話…
- 結果の解釈はおろか、それ以前に論文の質も評価しなきゃならなくて大変そうでした(なお、内容についてですが、主に北米での調査結果をもとにしており、報告もばらついているので、日本がどうなのかは分かりませんということだけ付け足しておきます。念のため)
- HO/CO System and Intraoperative CO Administration
- 抗酸化作用(臓器保護や再灌流障害の予防など)を目的とした、術中一酸化炭素(CO)吸入,CORM(CO-releasing molecule)投与,ビリルビン投与それぞれの展望みたいな話…
- CO吸入の安全な投与量や長期的影響は不確かだし、かといってCORMはホウ素とかルテニウムとかをコアにしてるからコアいし(下線部注意(笑)ビリルビンも特に神経への毒性考えなきゃいけないし…ということで、まだ手探りの分野ですね。面白い話でした。
- COPD and Alveolar Macrophage
- 長期的な喫煙でMΦがアポトーシスしなくなり、MMPやらエラスターゼやらで肺胞を障害しているという病態を踏まえた上で、どういう治療が考えられるかの話…
- なんとなく"Hallmark of COPD is inflammation"というtake-home messageは格好いいな、と思いました(どうでもいいことですな…)
- Mechanical Ventilation
- ARDSの本質は肺の炎症にあるということを示し、それを踏まえて、よりよい人工換気の方法についての議論…
- ARDSについて、旧い定義を使っていた点をちょち厳しく指摘されていました。ALIという概念が廃止されたとかなんとか、のあれです。授業で習いましたよね。習っててよかった…と冷や汗ものでした。
- Pathogenesis of ARDS
- ARDSの組織学的病態,そこで起きているサイトカインストームと,それを踏まえての治療の話…
- プレゼンテーションとしては一番よかった。特に一番最初の学生は、パワポで作ったオリジナルのアニメーションも素晴らしく、なにより語りがヤバい(うますぎて、なんかの舞台かと思った)。
- が、実は本来のテーマは「ARDSにおける肺胞上皮細胞の役割」(プレゼン自体のタイトルもこうなっていたのですが、内容的にはこのタイトルのように病態・病因概論でした)。つまり、テーマと微妙にずれてしまっていて、内容としてもそれほどフレッシュではない(=教科書レベルの)発表…ということで内容面の評価が微妙でした。「よい」プレゼンとはどういうことなのか、その難しさを実感した発表です。
- 聞いてて、あー抗炎症方向に作用するIL-10は大事なんだなーと思いました。
- Use of Suspended Animation to Treat Critically Ill Patients
- アニメを患者に見s…とかの話ではないです(でも、アニメーションって聞いたらえ?ってなるよね…なったんだよ。二次オタとか言わないでよ…)。低温療法や硫化水素投与といった方法で仮死状態(Suspended Animation)にし、好気呼吸を一時的に抑えて致命的状態を乗り切るみたいな話です。
- 臨床系の報告がまだ多くないためか、メカニズムや基礎研究にフォーカスしたプレゼンテーションになっていました。
- Is Obesity Good for ICU Patients?
- 太っているICU患者の予後についての話…あーやっぱり抗炎症方向に作用するIL-10は(以下略
- 外科と内科で予後が違ううえに、エビデンスも十分でないという難しいテーマでした。ProかConか判断しかねる感じの伝わる、行ったり来たりするようなプレゼンだったのですが、分かりづらかったということはなく、今回はかえってよかったという評価をされていました。
- 個人的には、なんとなくちょいデブがいい的な結論になっていたので、なんか満足しました(//* - ω - *)b
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